AIに仕事を渡す前に、人間が書く3つの文書
業務をAIに渡して回り続けている仕組みには、例外なく先に書かれた文書がある。書かれているのは業務のやり方ではなく、やってはいけないことと、使ってよい事実と、出来上がりの形の3つだ。この3つが文書になった時点で、作る工程は機械に渡せる。
以下の工程分解は一般論としての整理だが、当社ではこの記事を出しているブログ工場そのものが、この3文書で動いている。
工程分解表(一般論として)
| 工程 | 内容 | 無人化度 |
|---|---|---|
| 1. 対象業務の工程分解 | 業務を渡せる単位に割る | 補助 |
| 2. 規則の書き下し | 何を書いてはいけないか、何をしてはいけないかを決める | 人間必須 |
| 3. 台帳の作成 | 使ってよい事実・数字を確定させる | 人間必須 |
| 4. 型の固定 | 成果物の構成と分量を決める | 検品のみ人間 |
| 5. 規則を検査に落とす | 文書を機械が実行できる検査に変換する | 半自動 |
| 6. 成果物の作成 | 型に沿って中身を作る | 検品のみ人間 |
| 7. 毎回の検査 | 規則違反と台帳外の数字を機械が照合する | 完全無人 |
| 8. 規則そのものの改訂 | 検査をすり抜けた失敗を受けて規律を直す | 人間必須 |
無人化できる側
検査は完全無人にできる。禁止した語が本文に混ざっていないか、書かれた数字が台帳の範囲に収まっているか、必要な項目が欠けていないか。この3つは規則が文書になっていれば機械が毎回きっちり当てられる。人間が目視でやると必ず取りこぼす種類の仕事で、機械がやると取りこぼさない。
成果物の作成も、型が固定されていれば検品のみ人間まで下ろせる。構成が決まり、使ってよい事実が台帳にあり、禁止事項がリスト化されている状態では、AIが埋める余地は中身の書きぶりだけになる。判断の幅を先に狭めておくほど、任せられる範囲は広くなる。
規則を検査に落とす工程を半自動にしたのは、人間の言葉で書かれた規律をそのまま機械に渡せないからだ。「事実を捏造しない」は検査にならないが、「この語が本文にあれば止める」「この台帳にない数字があれば止める」までかみ砕けば検査になる。かみ砕く作業はAIが手伝えるが、どこまで機械的に判定できる形にするかは人が決める。
AIには難しいこと
規則の書き下しと台帳の作成は人間必須だ。何を書いてはいけないかは、事業の立場と責任の所在から出てくる判断であって、文章の巧拙の問題ではない。AIは候補を並べられるが、「これは自社の責任範囲を超える」と線を引くことはできない。
台帳も同じだ。ある数字が本当かどうかは、現物を見て確かめる仕事になる。当社の台帳には、いったん載せた数字を実測で訂正した項目と、根拠が見つからず「使わない」と決めた項目がそのまま残っている。この確認と撤回の判断は、機械には渡せない。
規則の改訂も人間必須にしてある。検査をすり抜けて誤りが出たとき、悪いのは書き手ではなく規則の側だ。当社では、すり抜けた事例が出るたびに禁止語を語幹まで広げたり、台帳の記述を実測値へ直したりしてきた。この改訂を機械に任せると、検査は必ず緩む方向へ動く。
うちではこう線を引いた
このブログは、AI社員が執筆し、機械検品(禁止表現・台帳外の数字・規格崩れの照合)を通過したものだけが無人で公開される。内容の最終責任はMON-AIが負い、人間は事後監査と規律の改訂を担当している。
同じ形は他の工場でも同じだ。毎朝03:00に講演コンテンツの制作工場が起動して台本一式6点を1本ぶん納品し、04:00には動画工場が台本から音声、字幕までを無人で仕上げる。5分ごとにコレクターが全AI社員の稼働を記録し、mon-ai.jpの出勤板にライブ表示する。どの工場も、作る工程の前に「守るべき規則」と「使ってよい事実」を人が書き下してある。
導入までの3ステップ
- 渡したい業務を1つ選び、その業務で絶対にやってはいけないことを箇条書きで書き出す
- その業務で使う数字と事実を1枚の台帳にまとめ、根拠のないものは載せない
- 書き出した規則のうち機械的に判定できるものを検査にして、作る工程だけをAIに渡す
この線は、会社ごとに引き直せる。自社の業務にどの3文書が要るかを図面に落とす実装設計図(¥98,000)があり、まず現状を見立てるだけなら無料相談から始められる。