毎朝3時、誰もいない部屋で仕事が始まる——無人コンテンツ工場の中身
毎朝03:00、誰もいない部屋で仕事が始まる。講演コンテンツの制作工場が無人で起動し、台本一式6点を毎朝1本仕上げる。04:00には動画工場が続けて起動し、人間が起きる頃には、その日の成果物が並んでいる。
朝のタイムテーブル
- 03:00 講演工場が起動する。講演の台本一式6点を毎朝1本納品する
- 04:00 動画工場が起動する。AIタレントTSUKIの動画を1日長尺2本、台本から音声、字幕まで無人で仕上げる
この間、人間は寝ている。誇張のための言い回しに見えるが、勤務の記録として書いている。5分ごとにコレクターが全AI社員の稼働を記録し、mon-ai.jp の出勤板にライブ表示しているから、本当に無人で動いていたかどうかは、後からいつでも検証できる。
工程分解表(動画工場)
| 工程 | 内容 | 無人化度 |
|---|---|---|
| 台本の執筆 | その日の動画の台本を書き上げる | 完全無人 |
| 音声の生成 | 台本を読み上げた音声を作る | 完全無人 |
| 字幕の生成 | 音声に同期した字幕を付ける | 完全無人 |
| 一次検品 | 誤字・規格崩れ・禁止表現の機械チェック | 完全無人 |
| 最終検収 | 成果物を人が確認する | 人間必須 |
| 公開の判断 | 会社の名前で世に出すかを決める | 人間必須 |
できる側——完成条件を文章にできる工程は無人になる
台本、音声、字幕という流れは、順番が固定で、各工程の完成条件を文章で定義できる。台本はこの形式で書く。音声はこの規格で作る。字幕は音声に同期している。完成条件が文章になれば機械が判定でき、判定できれば次の工程へ自動で渡せる。無人工場の中身は、この繰り返しでできている。
工程と工程のあいだの受け渡しも、判定とセットで設計してある。前の工程の成果物が完成条件を満たしていれば、次の工程が拾って続きを作る。満たしていなければ、そこで止まる。止まったことは稼働の記録に残る。
一次検品も同じ理屈で無人化した。誤字・規格崩れ・禁止表現のチェックは判定基準を書き切れるので、機械チェックとしてAIに実装してある。朝いちばんの人間の仕事が誤字探しである必要は、もうない。
難しい側——最後の2工程は、あえて人間に残している
最終検収と公開の判断は、人間必須のまま残している。能力の問題ではなく、責任の問題だ。「規格を満たしているか」は機械が判定できる。しかし「これを会社の名前で世に出してよいか」は、判定基準を完全には文章化できない。文章化できない判断を機械に渡すと、事故のときに誰も止められない。だから公開の判は人間が押す。
一般論として、無人化の失敗は「どこまで任せるか」の線を引かずに、全部を任せようとするところで起きる。うちは線を明示した。線の内側は完全無人、外側は人間必須。線があるから、安心して寝られる。
この会社の運営は、ほぼ一人とAI社員で回っている。制作・納品の大部分が無人化されている。人を増やす代わりに工程を磨いた、採用しなくても回る会社の作り方だ。
人間の朝は、検収から始まる
起きた人間がやることは決まっている。並んだ成果物を確かめ、通せるものに判を押す。作る作業は夜のうちに終わっているから、人間の時間は確認と判断に使われる。制作の手を動かす時間と、出来を判断する時間は、性質のちがう時間だ。無人化で消えるのは前者で、後者はむしろ仕事の中心になる。無人工場の要点は、人間の仕事を消すことよりも、人間の仕事を判断だけに絞り込むことにある。
導入までの手順
- 対象業務を工程に分解し、順番と各工程の完成条件を書き出す
- 完成条件を文章にできた工程から順に自動化する
- 最後に人間の検収を置き、通ったものだけを世に出す
この線は、会社ごとに引き直せる
御社の業務にも、完成条件を書ける工程と書けない工程がある。同じ仕組みを御社の業務名で設計するのが実装設計図であり、毎朝動いている現場は、mon-ai.jpのオフィス(出勤板)でそのまま公開している。